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公募研究について

令和6年度の科研費・学術変革領域研究(A)の公募要領が文部科学省HPにて公開されています。本年度の公募は9月19日が締め切りとなっています(各所属機関での〆切は異なります)。

令和6(2024)年度科学研究費助成事業 公募要領・研究計画調書のダウンロードサイト

以下に「メゾヒエラルキーの物質科学」領域の概要と公募内容について,「公募要領」PDF 41ページに掲載されている内容を転載しています。研究内容の詳細については、7月29日(土)開催のキックオフシンポジウムでより詳しくご説明いたします。

1.領域の概要

合成された分子や無機材料が自己集合・自己組織化することで形成される従来の結晶性材料、液晶性材料、あるいはポリマーなどのバルク材料は、ナノスケールの周期構造・集合構造が単純にマクロスケールまで拡張された構造を有し、ナノとマクロを繋ぐメゾスコピック領域(数ナノ〜マイクロメートルスケール)に階層性はほぼ見られない。一方で、多様な分子が緻密に集合した生体組織においては、当然のように階層構造が制御され、そしてその階層性由来の機能が導き出されている。もし、機能材料分野において、未開拓研究領域であるメゾスコピック領域で階層性を構築し、このスケール領域で躍動する革新的物質を開拓できれば、機能材料分野に大きな変革をもたらすことできる。そのためには、これまでに盛んに研究されてきた精緻なナノ構造構築技術のみならず、それらをさらにメゾスコピック領域まで階層的に組み上げ、機能を引き出すための学理の構築が重要である。そこで本研究領域では、メゾスコピック領域で階層的に自己集合・自己組織化された材料を「メゾヒエラルキー物質」と定義し、メゾスコピック領域での階層構造構築を目指す超分子化学、メゾヒエラルキー材料創成技術/設計理論、構造可視化技術、共振器強結合によるナノ構造間のエネルギー準位の操作技術、そして構築したメゾヒエラルキー構造が示す特徴的な力学的特性の解析技術を主戦場とする研究者が協働できる場を提供する。多岐にわたる研究分野出身の研究者が協働して本研究領域を推進することにより、メゾヒエラルキー物質に関する知見を集積し、統合的理解を深める。これにより、ナノからマクロを繋ぐ学際領域「メゾヒエラルキーの物質科学」を確立し、材料創成における学術変革を起こす。A01では「造形」と「可視化」、A02 では「光機能科学」と「光計測」、A03 では「刺激応答材料」と「非線形応答」、B01では「理論計算」という四つの研究項目 (A01–A03, B01)・七つのグループを柱に研究を進める。公募研究では、それらを補完する、あるいは新しい発想の研究提案を期待している。

2.公募する内容、公募研究への期待等

C01 メゾヒエラルキー構造の合成・構造解析 【単年度あたり応募上限額:350万円,採択目安件数:12件】

有機分子、無機材料、あるいはそれらのハイブリッドの自己集合/自己組織化を「階層的」に制御し、メゾスコピック領域における構造制御を実現する挑戦的な研究提案を歓迎する。有機分子の種類はπ電子系分子や機能性色素(いずれもπ電子系が相互作用してメゾスケールでの励起子移動を実現しうる系が望ましい)、さらに生体機能分子等を、また無機材料については金属ナノクラスターや量子ドット等を想定している。形成されるメゾヒエラルキー構造の形態は問わないが、巨視的スケールへと発散しないことが望ましい。並びに、これらの形成過程で生じる階層構造を独自の手法で分析、観察する研究提案も歓迎する。➡︎ 計画研究A01に対応

C02 メゾヒエラルキー構造の光物性/力学物性の解析・利用 【単年度あたり応募上限額:300万円,採択目安件数:6件】

メゾヒエラルキー物質は、その階層性ゆえに、メゾスコピック領域で階層性を持たない材料では到底達成することができない諸物性を示すことが予想される。本項目では特に光物性・力学物性の観点から、メゾヒエラルキー物質ならではの光物性・力学物性を解き明かす提案、さらにはそれらの諸物性を積極活用する研究提案を募集する。例えば、光励起状態を介した励起子や酸化/還元分子の数の制御、長距離励起子移動やその力による制御、エネルギーの増幅が可能な光機能性メゾヒエラルキー構造の物性計測に関する挑戦的・独創的な研究提案を歓迎する。➡︎ 計画研究A02に対応 また、メゾヒエラルキー構造特有の力学特性を解析・可視化する新規手法や、共振器強結合によるエネルギー準位の操作技術を提案する基礎的研究、またはそれらを最大限に生かした、例えばメゾヒエラルキーメカノ機能性材料や、超長距離励起子移動を利用した励起子回路など独自の新規応用を提案する応用研究を歓迎する。➡︎ 計画研究A03に対応

C03 メゾヒエラルキーの理論解析 【単年度あたり応募上限額:250万円,採択目安件数:5件】

メゾヒエラルキー物質構築へ向けた挑戦の本質的な要素は、系のサイズが原子レベルから巨視的レベルへ増大するにつれて生じる創発現象を生み出す、基礎的な理論原理を発見することにある。本公募研究においては、メゾヒエラルキー構造の形成メカニズム・安定性、および光・力学的物性・機能を解析するための理論構築、及びその応用計算の研究提案を期待する。量子化学(第一原理)計算、(粗視化)分子動力学などの分子論的モデルに留まらず、物性理論、ソフトマター物理、弾性体力学理論など周辺分野の理論研究者も歓迎する。➡︎ 計画研究B01に対応